学校給食担当課に申入れを行いました
2024年10月8日に、岡山市教育委員会 三宅 泰司 教育長 あてに、「より良い学校給食を求める申入れ」書を提出し、担当課職員と意見交換しました。
申入れの内容は、以下の通りです。
貴職におかれましては、岡山市の「教育の一環」として、学校給食の充実に尽力されていることに心から感謝を申し上げます。
岡山市の学校給食は、1926年に石井小学校で開始されて以降、1954年制定の学校給食法によって「教育の一環」として位置づけられ、一層の充実が求められてきました。その後、2005年に制定された「食育基本法」を踏まえ、2008年に学校給食法が改正され、「食育」の重要性がさらに高まりました。
一方、2000年からは、岡山市の財政難を理由とした民間委託が進められ、「民間委託率を児童生徒数の50%」とした当初目標は達成したにも拘わらず、現在では「70%」の目標が掲げられています。“少子化”を理由としたコスト縮減策であるように見受けられますが、少子化の時代だからこそ、子どもたちの食育へ投資をしていくことが必要不可欠であると言えます。
つきましては、下記の点を申し入れますので、ご回答いただきたく、お願い申し上げます。
記
1.「公会計化」と「地産地消」に関して
今年度から学校給食費が公会計化されました。申し込み手続きがうまく行かず「滞納扱い」になって手間がかかったり、10か月割りになることで負担感が増した、との意見も聞かれます。また、学校によっては地域農家の食材が利用しにくくなったり、献立の自由度が減ったとも伺っています。
公会計化によって保護者・こどもに不利益がないように、生じているまた生じる恐れのある課題は早急に解決するとともに、公会計化の下でも地産地消が促進されるようにしてください。
▸ 現時点で岡山市として認識している「公会計化」の課題をお示しください。
▸ また、地産地消率の評価は「金額ベース」で示されていますが、以前の「食材数ベース」による評価も同時に示されるべきではないでしょうか。
▸ 地場産物の使用率の向上に向けて、岡山市として重点を置いている施策をお示しください。
2.「調理場再整備計画」に関して
調理場再整備計画の策定にあたっては、その目的に明記されている「食育の充実」への対応や「今後も将来に渡って安全で安心な学校給食を安定的、継続的に提供」するために、例えば施設環境のために食材や献立が制限されるなどすることがなく、起こり得るリスクに対して現状より被害が広がることが無いようにすることも含め、自校調理場の確保・拡充など将来にわたって学校給食を充実できる給食調理場を整備していける計画としてください。
▸ つきましては、その為に岡山市として想定している最低限の考え方をお示しください。
3.「アレルギー対応」に関して
アレルギーを持つこどもへの給食の提供は、保護者と栄養士、養護教諭、担任教諭をはじめとした全ての教諭との連携が不可欠です。また、調理技術はもとより、調理場所・食材の管理環境・使用容器・食器や、センター調理の場合は配送時の配慮なども必要と考えます。
アレルギーを持つこどもも、他の児童・生徒と同じように学校給食が提供されるように、より「安全」を確保してください。
▸ アレルギー対応として、準備されている環境・体制などをお示しください。
4.「食育」の充実に関して
文科省も「食を通じて地域等を理解することや、食文化の継承を図ること、自然の恵みや勤労の大切さなどを理解すること」が重要としているように、食育の充実が一層求められています。
そのためにはまず「食への関心を高める」ことが先決です。核家族化・共働き家庭が増え、家庭の食生活が変化する下で、義務教育における学校給食において、「食」に対する様々なアプローチが必要です。
しかし、自由献立などの独自献立が減って「食への期待」は減退し、レトルトや総菜弁当などの進歩とともに、調理過程を感じるとこができないセンター調理化や農家との連携の減少で「食のありがたさ」も感じにくくなっています。
今一度、給食調理現場が教育現場に存在することの重要性を認識し、農業後継者育成の視点も含めて生産者との信頼関係の充実などで「食」と「食文化」への関心を深めるなど、フードリテラシーを拡充させてください。
▶ フードリテラシーを充実させるための施策をお示しください。
5.給食費の負担のありかたに関して
上記の学校給食を充実させていくためには、必要経費も増加することと思います。しかし昨今の物価高によって、家庭の負担は増すばかりであり、経費の増加を給食費に転嫁することは、社会経済も衰退させかねません。一方で、「保護者の負担を増やさない」ために「食育を衰退させる」または「停滞させる」ことは、教育行政としてはあってはならないことであることは言うまでもありません。
つきましては、少子高齢化・核家族化・共働き世帯の増加・物価高がつづくもとで、一層の充実が求められる「食育」という教育の教科書である学校給食にかかわる経費は、全額公費負担とすることを求めます。